【Rusty Lake】Underground Blossomの感想・考察【ネタバレ】

2023/12/14 0

Others Rusty Lake シリーズ


ポイント&クリック型の謎解きゲーム『Underground Blossom(アンダーグラウンド・ブロッサム)』の感想を交えた考察を書きました。

『Underground Blossom』は2023年9月27日に発売された、「Cube Escape」および「Rusty Lake」シリーズの17番目にあたる作品です。モバイル版とPC版があり、私はPC版をsteamで購入しました(580円)

シリーズ未プレイの方も楽しめますが、実績までコンプするとなると、シリーズ既プレイでないと難しいです。
開発者Q&Aによると「先に『Cube Escape Collection』をプレイしておくと、より楽しめます」とのことです。『Cube Escape: Collection』はモバイル版なら無料でプレイできます。

【ざっくりとあらすじ……】ある女性の人生を巡る地下鉄の旅が始まる。
各駅は女性の記憶、人生、ありえるかもしれない未来を象徴している。パズルを解いて電車のチケットを手に入れながら、女性の人生を追っていこう。

「Cube Escape」および「Rusty Lake」シリーズの主要キャラクターであり、多数の作品に登場している女性、ローラ・ヴァンダーブームの人生が紐解かれます。
全実績解除までのプレイ時間は約4時間でした。
隠し実績はARG(代替現実ゲーム)の謎解きでして、私は分からなくて答えを調べてしまいました。隠し実績の解き方を別記事で書きました。

【2024/4/22 追記】
アップデートにより新エリアが追加されました!
新エリアに行ってきた感想・考察は別の記事に書きました。


⚠以下、本作およびシリーズ全体のネタバレ全開です!ご注意ください!
考察は私の憶測がかなり含まれています!

主な登場人物について

ローラ・ヴァンダーブーム

「Cube Escape」シリーズの中心人物でありながら、謎に包まれていた女性。
初登場作品『Cube Escape: Seasons』の時点で既に死亡していたため、彼女がどんな人生を歩んだのかは謎に包まれていた。
元恋人ボブの回想をテーマにした作品『The White Door』にて、生前のローラのエピソードが初めて語られた。

『Rusty Lake: Roots』のラストで出生の秘密が判明。錬金術師ウィリアム・ヴァンダーブームの生まれ変わりとして、1935年春に誕生した。

ローズ・ヴァンダーブーム

ウィリアム・ヴァンダーブームの転生の儀式に携わった。儀式で生まれた赤ちゃんを「ローラ」と名づけて育てる。
初登場作品は『Rusty Lake: Roots』

アルバート・ヴァンダーブーム

ローズの父。鹿の頭蓋骨を被っている。死後、とある計画のために堕落した魂となって現世に留まる。
初登場作品は『Rusty Lake: Roots』

ロバート・ヒル

愛称はボブ。一時期ローラと付き合っていた。
ジョンソン・バードフード工場勤務。
初登場作品は『Cube Escape: Case 23』

デール・ヴァンダーミーア刑事

ローラの死亡現場の捜査にやってきた刑事。
初登場作品は『Cube Escape: Case 23』

ハーヴィー

ローラのペットのオウム。
古くから湖にいる。ほぼ全作品に登場。実は半人半鳥で、ラスティレイクホテルで働いていた時期がある。いつもは鳥の姿で登場している。
初登場作品『Cube Escape: Seasons』

オルダス・ヴァンダーブーム/ミスター・クロウ

ウィリアムの兄弟で錬金術師。今作では車掌さん。作品ごとに色々な職をこなしている。
不老不死の薬を飲んで半人半鳥(カラス)になったが、人前では人間の姿をしている。
ミスター・アウルの協力者だが、真の目的は不明。
初登場作品は『Cube Escape: Case 23』

ミスター・アウル

ラスティレイクの支配者的存在。記憶のキューブを湖に捧げている。半人半鳥(フクロウ)だが、人前では人間の姿をしている。
ラスティレイクホテルやメンタルヘルス施設「ホワイトドア」を経営している。
初登場作品は『Cube Escape: The Mill』

概要

地下鉄はローラの人生をダイジェストに見せるための舞台装置です。
例えば、ボブとローラは地下鉄で出会ったのではなく、実際は公園で出会いました。ボブとローラが別れ話をした場所も地下鉄ではなく、実際はカフェです。ローラが死亡した場所も、実際は自宅です。
他作品で描かれたローラの過去に加えて、これまで描写がなかった部分が補完されて、彼女の人生を象徴的に表現したのが地下鉄の旅です。

さっそくネタバレになってしまいますが、今回旅をしている主人公はハーヴィーです。
1周目をクリアすると、ミスター・アウルの指示でローラの人生を巡っていたのだと分かります。
2周目のキューブ集めをクリアすると、ハーヴィーの最終目標地が明らかになり、次回作への伏線になっています。
さらにシークレットを見ると……。

1周目:7つの駅を巡る

第1章:ゆりかご駅

年代:1935年春(ローラ0歳)
関連作品:『Rusty Lake: Roots』『Samsara Room』


『Rusty Lake: Roots』のラストで、ウィリアムの転生の儀式が行われ、湖で赤ちゃんが誕生しました。本作はこの続きの話となります。
赤ちゃんはローズが「ローラ」と名づけて、育てたようです。


ローズは主人公ハーヴィーに「来てくれて嬉しいわ。娘のローラよ。娘のことをお願いね」と言います。
ハーヴィーは昔からヴァンダーブーム家に出入りしていて、所縁があります。例えば、1891年秋、エマ・ヴァンダーブームから息子フランク宛の手紙を預かったりとかしてます(その手紙は39年後にフランクに届けた)
だからローズがハーヴィーに娘を紹介したのも、自然な流れだったんじゃないかなと思います。この日からずっと、ハーヴィーはローラと一緒に過ごしていたんですね。

ローズが持っている金の懐中時計は、ウィリアムの転生の儀式に使用した物です。
『Samsara Room』でウィリアムが生命の輪をめぐってローラに転生する過程でも、金の懐中時計は未来を指し示す役目をしました。
懐中時計のサンスクリット語 देव は、ラスティレイクの六道輪廻では「天道」を示します(Cube Escape: Theatreより)

懐中時計を開くと、未来へ行く電車の時刻を指し示します。
(あんまり関係ないだろうけど、切符売り場の老婆が『ツイン・ピークス』のトレモンド夫人に似てると思った!)

第2章:幼な子の小道

年代:1939年12月頃(ローラ4歳くらい)
関連作品:『Cube Escape: Birthday』『Cube Escape: The Cave(シークレット)』『The Past Within』


新聞記事に「誕生日の虐殺」とありますが、これは1939年12月18日に起きたヴァンダーミーア家殺人事件のことで、生き残ったのはデールだけでした。ゲームでは『Cube Escape: Birthday』で取り上げられました。
この日は1939年12月だとすると、ローラが4歳くらいの時ですかね。
この頃にジョンソン・バードフード工場開業、ラスティレイクホテルの改装があったみたい。
不老の犬は、ジェームズ・ヴァンダーブームが作った不老不死の薬を飲んで不死身なりました。『Rusty Lake: Roots』や『Cube Escape: The Cave』で登場してます。

新聞を持った男性のそばの箱に、『Cube Escape: The Cave』のシークレットで得た番号を入れると隠し要素らしいんですけど、私は気づかずスルーしてしまいました。

公衆電話から緊急連絡先の電話をかけると、堕落した魂の喋り方(逆さ言葉)で「電話をくれてよかった。母親は私が迎えに行く」と言われます。
ローラが母親の写真を撮っていると、鹿の頭蓋骨を被った堕落した魂が現れて、母親を連れて去ってしまいます
ローラは大変なショックを受けます。


堕落した魂の正体は、ローズの父親アルバートです。アルバートは約13年前に死亡した後、堕落した魂になって現世に留まり続けています。未来で蘇る計画を立てているからです。この辺の事情は『The Past Within』をプレイすると分かります。
蘇生計画にはローズの協力が必要不可欠です。それはローズも承知の上、ローラと別れてアルバートと共に行く道を選びました。
【追記4/22】
アップデートで新しい駅「研究所」が追加され、ローズ達はそこに向かったことが判明しました
【追記ここまで】

ローズが残したバッグには、ハーヴィーに宛てた手紙と懐中時計が入っていました。
「この懐中時計を大切に持っていて。将来ローラを守ってくれるはずだから」

というわけで、唯一の家族と離別したローラ。ほぼ同時期にデールも家族を失いました。ローラとデールにこんな共通点があったのは、新しい発見です。

第3章:学園通り駅

年代:不明(ローラ10代)
関連作品:特になし

堕落した魂とともに母親が去ってしまった出来事が、ローラの心に暗い影を落としました。
天真爛漫だった幼少期とはうって変わって、クラスメイトとも距離をとり、孤独です。
ローズから「この先、長い年月ローラを守ってね」と頼まれたハーヴィーだけは、ずっと彼女の味方だったようです。

たぶんハーヴィーと一緒に湖から離れた街で育ったのだろうと思います。
『Cube Escape: Paradox』で出てくるローラの軌跡だと、ダークタウンという地名(?)が出てきましたけども。
でも、ハーヴィーは基本的にオウムですから、あくまでもペットの位置づけであって保護者ではないと思うんですよ。誰がローラを育てたのでしょうか?
ハーヴィーが人間の姿にもなれるなら話は別ですけど、これまでの作品でそういった描写はなく、基本的にはオウムの姿なんですよ。
今回の地下鉄の旅は半人半鳥の姿で行っているのは、ミスター・アウルの指示だからでしょう。ホテル業務の延長線上ではないでしょうか。
個人的には、母と別離したローラを誰が育てたのかが一番気になっていたのですが、残念ながら情報はほぼないです。この駅自体、謎解きも少なくてすぐ終わります。

ローラにとって湖は前世(ウィリアム)の忌まわしい記憶を呼び起こしかねない場所ですから、別の街に移った方がよかったのだろうと思います。
対して、ローズは父親の計画が湖の秘密(記憶のキューブ)と関わっている都合上、湖から離れられなかったんじゃないでしょうか。
だから泣く泣くローラと別れたのかなぁと思います。

母親の写真をローラに渡すと、「母のものはこれしかないの」と言います。
ローズのドレスを持ってるはずですけどね。母の顔を思い出せるものはこれしかないって意味かな?

第4章:鳥の橋駅

年代:1964年前後(ローラ20代くらい)
関連作品:『Cube Escape: Seasons』『The White Door』

ローラはスケッチブックに絵を描いています。『The White Door』でも同じようなスケッチブックを持って、コマドリを写生したり、記憶の中にある光景を描いたりしていました。

スケッチブックの中を見ていきましょう。
2ページ目に描かれているのは母親。
3ページ目は、おそらくボブと出会った公園(『The White Door』より)
4ページ目の堕落した魂は、ローラが悩んでいる幻覚症状だと思います。『Cube Escape: Seasons』等で堕落した魂の幻覚を度々見ていたことが分かります。
5ページ目は、幼少期に見たミスター・アウルの像でしょう。これはアチーブメント獲得のヒントです。
6ページ目はコマドリ。ボブと初めて会話するきっかけになった鳥(『The White Door』より)
7ページ目はラスティレイクホテル、私の知ってる場所(『The White Door』シークレットより)
8ぺージ目はクラスメイト達。まるで表情が無い…。
9ぺージ目の木は、アチーブメントのヒントです。
10ぺージ目は、自分の目。ローラは自分の目を恐れていたようです。おそらく前世の記憶のせいでしょう。『Cube Escape: Seasons』でも血を流す目が出てきます。
11ページ目は、鳥かごのハーヴィー(『Cube Escape: Seasons』)

後にローラの恋人となるロバート・ヒルことボブが登場します。『The White Door』で描かれたボブとローラの恋愛が、この1駅にギュっとまとめられています。
2人の関係を詳しく知りたい場合は、『The White Door』をプレイした方がいいでしょう。

コマドリが登場する理由ですが、『ツイン・ピークス』のデヴィッド・リンチ監督の映画『ブルーベルベット』で「コマドリは愛の象徴」と言われていたので、もしかしたらそれが元ネタかもしれません。Rusty Lakeの開発者はデヴィッド・リンチの大ファンだと公言しています→公式インスタより

この駅でハーヴィーは災難に見舞われます。
ローズから託された懐中時計をスリに盗られてしまうのです!

第5章:悲哀の十字路駅

年代:1969年~1971年10月12日(ローラ36歳)
関連作品:『Cube Escape: Seasons』『Cube Escape: Case 23』『The White Door』『The Past Within』

ローラは精神を病み、ボブと別れて静養することにします。
ローラの病の原因について、これまで具体的な説明はありませんでしたが、今作では医師の手紙にこのように書かれていました。
「あなたの恐れは過去に深く根ざしています」
この流れですと、母親が何も告げずに去ってしまった過去を指しているのだろうと思うのですが、それだけでなくローラに関しては前世の記憶も関係していると思います。この話は『Cube Escape: Seasons』の考察記事に書きました。

手紙と一緒に薬が同封されていますが、これは『Cube Escape: Seasons』でボードに処方箋が貼られていた通り、抗うつ剤です。
主治医の名前は今作初登場です。クラーク医師ってホワイトドア(メンタルヘルス施設)にいませんでしたっけ?ローラが通っていた病院はホワイトドアだった?
『The White Door』にて、ボブがホワイトドアに入所するんですが、寝る前に同じ薬を飲んで、夢を見ていました。
その間に職員が記憶を抽出していたんですけど。


ローラに薬を飲ませると、彼女が毎晩見ているという悪夢の世界になります。
赤い森林は湖の底にあるとされている地獄道を彷彿とさせます。
ローラが見た夢の内容は以下の6つ。

■かわいそうなボブの手に、失意で壊れた心臓がある夢
心臓は『Rusty Lake』シリーズによく出てくるアイテムで、ラスティレイクの六道輪廻で「人間道」を表したり、過去(前世)との均衡を保つのに使用したりします。
今作の場合は、ボブの傷ついた心を現しているのかなと思います。ローラと別れた後、ボブは抜け殻のようになってしまいます。もしかしたら、その後のボブの悲劇も示唆しているのかもしれませんが(『The White Door』より)

■小さい頃の自分が、母の顔を抱いている夢
母と一緒だった頃の思い出

■大きな魚をもった刑事さんの夢
ローラはデール刑事と面識がないはずです。『Cube Escape: Paradox』でも、デール刑事は「会ったことすらない」とはっきり言っています。何も接点がないデールが唐突に出てくるのは謎です。
魚とデールといえば、『Cube Escape: Paradox』にて未来のミスター・アウルが魚の姿になって登場し、デールに「私には後継者が必要なんだ」と伝えた場面を思い出します。
ミスター・アウルは来世では魚になるので、デールを自分の後継者にしようとしてるみたい。この夢は、そのことを示唆してるのかな?

■母の頭をもった堕落した魂の夢
母が一度も戻ってこないのは、鹿の頭蓋骨を被った堕落した魂が束縛してるからだと思っているのかな。あながち間違ってはいないと思うけど……。アルバート……。

■翼をもつ友人のあなたが花いっぱいの枝を握ってる夢
ハーヴィーと花といえば、『Cube Escape: Seasons』の1981年にて、花を運んできた場面を思い出します。ローラが堕落した魂から脱する手助けをしましたね。
今作のラストでも、ハーヴィーはローラに花を運びます。

■年老いた母が黒キューブを持っている夢
『The Past Within』の未来編(1981年)、アルバート蘇生計画の最終段階に挑むローズです。
予備知識なしのシリーズ初心者の方は、急に出てきた黒キューブが何なのか分からないかもしれません。やはり、『Cube Escape』シリーズはプレイしておいた方がいいかも。
駅の左側にあるステンドグラスがラスティレイクの図になっていて、湖に黒いキューブが沈んでいることが分かるようにはなっていますが。


ローラが未来予知のような夢を見ていたなんて、今作で初めて発覚しました。
これはどういうことなのか……。
これまで夢と赤い森に関する情報は全くといっていいほど登場していないので、推測もつかないんですが、『ツイン・ピークス』を参考に考えてみます。

『ツイン・ピークス』のネタバレを少しでも見たくない方は、次の画像まで読み飛ばしてください!

赤い森は、『ツイン・ピークス』の森にあるブラック・ロッジ(赤い部屋)と似てる気がします。ブラック・ロッジと何かしら繋がりがある人は、赤い部屋の夢を見ることがありまして、『ツイン・ピークス』のローラ・パーマーは赤い部屋の夢を見て、デイル・クーパー捜査官と会いました。
ローラはデイルを知っているはずがない……のですが、実は夢の中で赤い部屋に行った時に会っていたという。
(もう少し踏み込むと別次元の話になるんだけど、Rusty Lakeシリーズは別次元があるのかどうか不明なので、今のところそこまでは考えないでおこう)

もしブラック・ロッジの設定が元ネタだとしたら、湖と何かしら繋がりがある人は、何らかのきっかけ(抗うつ剤など)で、赤い森の夢を見ることがある、と予測できるかもしれない。だからボブだけでなく、出会ったことがないデールまでも夢に出てきたのは、彼らも湖と繋がりがあるから、その繋がりを通してローラの夢に出てきたんじゃないかな。
湖は時間が存在しないので、過去と未来が入り混じった夢を見たのではないでしょうか。
ウィリアムの魂がローラに生まれ変わる過程で、赤い森を通っていますからね。ローラの魂は湖と繋がっていたのでしょう。
完全に私の憶測なんですが。


上記はステンドグラスです。ラスティレイク周辺の様子がまとめられています。
上空に鳥、湖に釣り人の舟とラスティレイクホテル。湖の中は白・黒キューブが浮かんでいて、エレベーターがあります。

湖底の様子は、前作『The Past Within』のラストです。
満開の木をはさんで、左に過去編のローズ、右に未来編のローズ。両者の後ろにいる人物は誰かというと、おそらく『The Past Within』のシークレット要素。

The Past Withinより

過去編はミスター・クロウ、未来編はハーヴィーが後ろにいました(TPWシークレットより)
しかし、ステンドグラスの左端の人物は半人半鳥の姿ではありませんよね…?最初はミスター・クロウかと思ったのですが、もしかしたらアルバートの可能性も?

(それにしても、ミスター・クロウはアルバートと深く関わっていますね。アルバートに鹿の頭蓋骨を渡したり。復活計画の時もその場にいたんですから。ミスター・クロウは何を企んでいるんだ?)

そして1971年10月12日、ローラは亡くなりました。自ら命を絶ったのかは謎です。
最後まで母との再会は叶いませんでした。
この後は『Cube Escape: The Mill』に繋がります。ミスター・クロウがローラの遺体から黒キューブを抽出した際、遺体が堕落した魂に変化しました。その辺の話は本作ではガッツリ省略されています。

第6章:魂通り

年代:1972年
関連作品:『Cube Escape: The Cave(シークレット)』

『Cube Escape: The Mill』で抽出されたローラの記憶キューブは、湖に属しました。
抽出された影響でローラの堕落した魂は過去をほとんど忘れてしまったようです。
『The Mill』の水車小屋で暴れて、ハーヴィーを殺そうとしたのは、過去を忘れて凶暴化したからなのかなと思います。

ローラの魂は蜂(蝶)を見て母とハーヴィーを思い出し、「母の懐中時計を探して」と言います。
蜂(蝶)は、アルバートの人格形成に影響を与えた昆虫です。アルバートがああなった遠因であり、その影響はローズとローラの人生にも波及しています。アルバート、ローズ、ローラの3世代を象徴するような存在です。
ちなみに、『The Past Within』では蜂モードと蝶モードの2つのゲームシステムがありまして、最後に咲く花の色が異なりました。

たぶんハーヴィーはスリを探し出したんでしょうね。
乳首をいじり回したりして、懐中時計の場所を吐かせます。
『Rusty Lake』シリーズはおっさんの乳首にこだわりがある。
ハーヴィーから盗みを働いて電撃だけで済んだのはマシな方ではないでしょうか。ハーヴィーってラスティレイクホテルでえぐいこともしてましたから。

ローラの魂に懐中時計を渡すと、時計の針がぐるぐると回転して5時15分で止まります。その瞬間、電車の音が聞こえてきます。時計は次の行き先を指し示した直後、役目を終えたとばかりに砕け散ってしまいました。
つまり、ローラの魂は次が終着駅なんでしょう。

第7章:湖

年代:不明
関連作品:『Cube Escape: The Cave』『The Past Within』


終着駅は湖の中でした。薄暗い森林の奥に、満開の木が立っています。
その木は『The Past Within』のラストで過去のローズと未来のローズが融合して出来たものです。蝶モードだとピンクの花、蜂モードだと白い花が咲きます。今作ではランダムで決まるのかな?
湖の中に時間は存在せず、過去と未来が交錯しています。ローズは黒と金キューブを使って、過去と未来を書き換えた上で融合しました。


『The Past Within』のアチーブメントをコンプリートすると、木のそばにハーヴィーが現れます。
ローズが木になった時、その場にハーヴィーもいたんです。この木の行く末を見届けてから、ハーヴィーは地下鉄の旅を始めたのではないでしょうか。最初の駅で舞っていた花びらは、ローズの木の花だったのかもしれません。

ハーヴィーが木に触れると、過去と未来のローズが現れて、こう言います。
「私がいるべき場所は湖」
「私は真理を悟って1本の木になった」
「娘は別の人生を歩むことができる。成長して花を開くことができるわ」

「真理を悟って1本の木になった」の意味はよく分かりません。言葉通りに受け取るなら、魂が湖の一部になること=悟りなのでしょうか。
「花を開く」は、転生のことじゃないかと思います。
私は『The Past Within』のラストでローズが満開の木になった時、これで彼女は転生したのだろうと思ったのですが、彼女の本当の願いは自身の転生でも何でもなく「娘ローラを助けること」だったんですね!

そして、ローズの木から花が散って、枯れた枝だけになります。散った花びらはローラの堕落した魂を包み込みます。ローラは母の本当の願いを理解して、悲しみを断ち切り、堕落した魂から脱したのでした。
「私は悲しみのない別の人生を生きることができる。湖は私の中で生きているの」
ローラはそう言って、人生をともに過ごしたハーヴィーに別れを告げたのでした。
ハ、ハッピーエンド……!?

花咲いて枯れたローズは……涅槃に達したってこと?
真理を悟って木になって、ローラの魂を浄化して枯れて、ラスティレイクの輪廻から解放されて、涅槃に達した?
そうなると、Cube Escapeシリーズから描かれている「悟り」の意味が少し変わります。1人を犠牲にして不老不死を得る=悟りだと思っていたのですが、湖で木になることも「悟り」なのか……。

ともかく、堕落した魂は、湖の一部になった魂(もしくは愛情)をもって浄化できるというのは新事実です。

2周目:シークレットエンド

『Rusty Lake』シリーズでハッピーエンドとか嘘でしょ…!?と思ったら、やっぱり続きがありました!
最初の駅にあったスーツケースに、ミスター・アウルの手紙が入っています。それによると、ローラの人生をめぐったのはミスター・アウルの指示であり、さらに「もう1つ頼み事があるから湖に来てくれ」と新たな指令が記されています。

湖駅に行くと、潜水服の人がベンチに座っていますが、この人がミスター・アウルです。潜水服を着ている理由は『Cube Escape: The Cave』をプレイすると分かります。
(当ブログの『Cube Escape: The Cave』の考察記事はこちら

再び駅をめぐって、シンボルが描かれた9つのキューブを集めます。すると、金チケットと交換できるエビをゲットできます。ラスティレイクといえばエビ!!

9つのキューブですが、ある順番に並べ替えるとシークレット要素。
『Cube Escape Collection』に収録されている9作品のアチーブメントをコンプリートすると、メニュー画面に9つのシンボルが表示されます。そのシンボルと同じように並べ替えます。


シークレット要素では、『Cube Escape: The Cave』の白キューブハウスのその後が明かされます。
デールがエレベーターで上昇するところが、一瞬映ります。
白キューブハウスに残されたローラの堕落した魂はどうなったのかというと、なんと堕落した状態を脱した姿で次のエレベーターに乗っていました。同乗するミスター・クロウが「彼女は準備ができている。昇華する時がきた」と言って、上昇していきました。
これはついに……続編でデイルとローラの運命が明かされるのだろうか!

ローラを見送ったハーヴィーは、金チケットを使ってラスティレイクホテル行きの電車に乗ります。果たして、ミスター・アウルの頼み事とは一体何なのか…!?次回につづく!
次回作はラスティレイクホテルで何かが起こりそうな予感です。

隠し駅:Best Kept Memory流通センター

Best Kept Memoryとは、記憶をビデオテープに保管したり、消したい記憶を抽出したりするクリニックです。前作『The Past Within』からスタートしたARG(代替現実ゲーム)の一環で、実在するサイト・実写動画があります。
ARGの謎解きをすると、今作の隠し駅「Best Kept Memory流通センター」に行けて、ローズのビデオとか見れたりします。

ARGの解き方は別記事に書きましたので、ご参照ください。

サクっと答えを知りたい場合は、steamのガイトに記載されています。アチーブメントのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
▼steamコミュニティ - Underground Blossom - 100% Achievements

Best Kept Memory流通センターに行って、アクセスコードが必要なドアを開けると、鹿の頭蓋骨を被ったアルバートが現れます。
これは前作『The Past Within』のARG関連の場面です。Rusty Lake公式YouTubeチャンネルで、黒キューブを記録したライブ配信がありまして、その配信中に出てくるヒントを解くと、『The Past Within』で隠された巻物を回収できるというARGがあったんです。
配信の最後の方でアルバートが現れるんですけど、流通センターの光景とそのまんま同じです。


ラベル「Vendome_Ba」(ローズ・ヴァンダーブームのアナグラム)のビデオテープを探して再生すると、初老くらいのローズが研究所にいる映像が流れます。アルバートの蘇生タンクもありますので、『The Past Within』の未来編(1984年)の前の映像だと思います。

この「研究所」は、2024年4月21日に配信されたアップデートで追加されて、実際に行けるようになりました(公式トレイラーを参照)


ビデオを見終わると、アルバートが現れます。
アルバートさん、蘇って生き生きしてますねぇ。奥の部屋にあった黒キューブはローズのモノだったのかな。
憶測ですが、Best Kept Memoryはローズの研究目的(アルバートの復活方法)を探るために黒キューブを録画していたのかも。死んだ人間を復活させる方法があるなんて知れ渡ったら、湖はどうなるんだろう。

時系列を考えてみる


路線図を基に時系列を考えると、一番古い時代がゆりかご駅(1935年)、一番新しい時代がBest Kept Memory流通センターじゃないかと。

2周目のキューブ集めが終わると、ハーヴィーはゆりかご駅(1935年)から金の電車に乗って、ラスティレイクホテルに帰ります。金の電車は金キューブの比喩だとすると、ハーヴィーは金キューブを使って未来をめぐっていた可能性も。

そうして時をかけたハーヴィーは、最終的に1935年頃のホテルに戻ったんじゃないかと思います。だからハーヴィーの獣人の姿がホテル勤務中っぽいと思ったんですよね(アセット使い回してるだけかもしれませんが…)

幼子の小道駅の新聞によると、1939年頃にホテルが改装するみたいなので、もしかしたら次回作に関係してるのかなぁと予想。

感想まとめ

1周目の謎解きはあんまり難しくなかったです。1カ所だけヒント動画を見たくらい。
隠し実績のARGが全然分からなくて、答えを丸々カンニングして当てはめるだけの作業になってしまい、残念でした。一応、どんなロジックなのか知りたくて解き方も調べましたが……。

ローラの物語としては、既に語られた部分のダイジェスト感が強くて、あんまり新情報はなかった印象です。むしろラストで『The Past Within』と繋がって、ローズの結末の方が驚きました。

【2024/4/22追記】
アップデートで追加された新エリアをクリアした感想・考察は「Underground Blossom 新エリア「研究所」に行ってきた感想・考察」の記事で!


  Rusty Lake 考察記事【ネタバレあり】

自己紹介

あおはさきの写真

あおは さき

ストーリー・世界観を楽しむことに重きを置くゆるゲーマー。RPGが大好物。
YouTubeにプレイ動画も投稿中。
YouTubeチャンネルはこちら

詳しくは「このブログについて」をご覧ください。


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